睡眠時無呼吸症候群(SAS)と勃起障害(ED)の関係
1. 睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは?
睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome, SAS)は、睡眠中に呼吸が一時的に停止したり浅くなったりする疾患です。
特に「閉塞性睡眠時無呼吸症候群(Obstructive Sleep Apnea, OSA)」が多く、これは気道が塞がれることによって呼吸が止まるタイプです。
- 主な症状
- いびき(特に大きく不規則ないびき)
- 日中の強い眠気
- 夜間の頻尿
- 朝の頭痛や倦怠感
- 集中力や記憶力の低下
- 高血圧や糖尿病のリスク上昇
2. SASが勃起障害(ED)を引き起こすメカニズム
SASとEDには、以下の生理的・心理的な要因が関与しています。
(1) 低酸素状態による血管障害
SASでは、睡眠中に何度も呼吸が止まることで、血中の酸素濃度が低下(低酸素状態)します。
これが慢性的に続くと、血管の内皮機能が障害され、血流が悪化します。
勃起には陰茎の血流が十分に確保されることが必要ですが、SASによる血管障害が原因でEDが発生しやすくなります。
(2) 自律神経の乱れ
睡眠中の無呼吸発作は、交感神経を過剰に活性化させます。
その結果、血圧や心拍数が上昇し、血管が収縮してしまいます。
通常、勃起には副交感神経(リラックス状態)が優位になることが必要ですが、SASによる自律神経の乱れが勃起を妨げる要因となります。
(3) 睡眠の質の低下によるホルモン異常
SASは睡眠の質を著しく低下させます。
特に、テストステロン(男性ホルモン)は深い睡眠中に分泌されるため、睡眠の分断や浅い眠りが続くと、テストステロンの分泌が低下します。
テストステロンは性欲や勃起機能を維持する重要なホルモンであるため、その低下がEDの原因となります。
(4) 慢性的な疲労とストレス
SASによる日中の強い眠気や慢性的な疲労は、性的欲求の低下につながります。
さらに、疲労やストレスの蓄積は、心理的なEDを引き起こすこともあります。
3. SASによるEDのリスク
SASの患者は、健常者と比べてEDのリスクが2~3倍になると報告されています。
特に、SASの重症度が高いほどEDの発症率も高まる傾向があります。
- 軽度のSAS → EDのリスクが1.5倍
- 中等度のSAS → EDのリスクが2倍
- 重度のSAS → EDのリスクが3倍以上
また、SASとEDの両方を持つ患者は、うつ病や不安障害を合併しやすいことも分かっています。
4. SASによるEDの治療と対策
SASによるEDを改善するためには、まずSASの治療を行うことが重要です。
以下の方法がSASおよびEDの改善に効果的です。
(1) CPAP(シーパップ)療法
「経鼻的持続陽圧呼吸療法(Continuous Positive Airway Pressure, CPAP)」は、SASの標準治療です。
CPAP装置を使って寝ている間に気道に空気を送り込み、無呼吸を防ぐことで、低酸素状態の改善・睡眠の質の向上が期待できます。
CPAP治療を継続することで、**EDの改善率は約50~70%**と報告されています。
(2) 減量(肥満の改善)
SASは肥満と深い関係があります。
特に首回りに脂肪がつくと気道が狭くなり、無呼吸が悪化します。
体重を5~10%減らすだけでもSASの症状が軽減し、EDの改善につながることが分かっています。
(3) 禁煙・節酒
- 喫煙 → 血管を収縮させ、血流を悪化させるため、SAS・EDともに悪化させる
- アルコールの過剰摂取 → 筋弛緩作用で気道が狭まり、無呼吸を悪化させる
そのため、禁煙・節酒はSAS・EDの改善に有効です。
(4) 側臥位(横向き)での睡眠
仰向けで寝ると舌や軟口蓋が落ち込みやすく、SASが悪化します。
横向きで寝ることで気道の閉塞を防ぎ、無呼吸を軽減することができます。
(5) 睡眠環境の改善
- 寝る前のカフェイン・アルコールを控える
- 規則正しい睡眠時間を確保する
- 適度な運動を取り入れる(特にウォーキングやヨガが効果的)
これらの習慣が、SAS・EDの両方の改善に役立ちます。
5. まとめ
- SAS(睡眠時無呼吸症候群)はEDのリスクを2~3倍に増加させる。
- SASによる低酸素、血流障害、ホルモン異常、自律神経の乱れがEDの主な原因。
- CPAP療法や減量、禁煙・節酒などの生活改善がEDの治療に有効。
- SASの治療を行うことで、EDが50~70%改善する可能性がある。
SASの症状(いびきや日中の眠気)がある場合は、早めに睡眠専門の医師や耳鼻科で診察を受けることをおすすめします!

