薬物の副作用と勃起不全(ED)
さまざまな薬剤がED(勃起不全)を引き起こすことがあります。
これは、薬が神経伝達、ホルモンバランス、血流に影響を与えるためです。
ここでは、EDを引き起こしやすい代表的な薬 を詳しく解説します。
1. EDを引き起こす薬の主なメカニズム
薬がEDを引き起こす主な理由は以下の3つです。
① 血流の低下
- 陰茎への血流が不足すると勃起が難しくなる。
- 降圧薬、利尿剤などが影響する。
② 神経伝達の阻害
- 勃起は自律神経(副交感神経)が関与するため、神経に作用する薬が影響する。
- 抗うつ薬、抗精神病薬などが影響する。
③ ホルモンバランスの変化
- テストステロン(男性ホルモン)が減少すると、性欲や勃起機能が低下。
- 5α還元酵素阻害薬、ホルモン療法が影響する。
2. EDを引き起こしやすい薬の種類
(1) 抗うつ薬・抗精神病薬
これらの薬は神経伝達に影響を与え、EDの原因になることがあります。
① SSRI・SNRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
代表例: パロキセチン(パキシル)、フルオキセチン(プロザック)、デュロキセチン(サインバルタ)
影響
- セロトニンが増えると、ドーパミンの働きが抑えられ、性欲が低下しやすい。
- 射精遅延、勃起障害が起こることがある。
② 三環系抗うつ薬(TCA)・四環系抗うつ薬
代表例: アミトリプチリン、ミアンセリン
影響
- 自律神経に作用し、勃起に必要な神経伝達を妨げることがある。
- 副交感神経の働きを抑制し、性欲低下を引き起こすことがある。
③ 抗精神病薬(統合失調症・双極性障害の治療薬)
代表例: リスペリドン、オランザピン
影響
- ドーパミン受容体を遮断し、性欲や勃起機能を低下させることがある。
- 高プロラクチン血症を引き起こし、テストステロン低下につながることがある。
(2) 降圧薬(高血圧治療薬)
高血圧の治療薬の中には、EDを引き起こすものがある。
① 利尿剤
代表例: ヒドロクロロチアジド、フロセミド(ラシックス)
影響
- 血流量が減少し、陰茎への血流が不足する。
- カリウム不足で神経伝達がうまくいかず、勃起が困難になることがある。
② β遮断薬(βブロッカー)
代表例: プロプラノロール、メトプロロール
影響
- 交感神経を抑え、心拍数を低下させるが、その影響で勃起機能も低下することがある。
- 特に「非選択的β遮断薬」がEDを引き起こしやすい。
(例:プロプラノロール) - 選択的β1遮断薬(ビソプロロールなど)は影響が少ない。
③ α2作動薬(交感神経抑制薬)
代表例: クロニジン
影響
- 交感神経の活動を抑えることで、血圧を下げるが、同時に勃起も抑制されることがある。
(3) 5α還元酵素阻害薬(前立腺肥大・脱毛治療薬)
代表例: フィナステリド(プロペシア)、デュタステリド(アボルブ)
影響
- テストステロンをDHT(ジヒドロテストステロン)に変換する酵素を阻害するため、性欲低下やEDを引き起こすことがある。
(4) 消化器系の薬(胃薬)
代表例: H2ブロッカー(シメチジン)、プロトンポンプ阻害薬(PPI)
影響
- シメチジンは高用量でテストステロンを抑制し、EDの原因になることがある。
- PPI(オメプラゾールなど)は、間接的に栄養吸収に影響し、EDリスクを上げることがある。
3. EDを防ぐための対策
① 医師と相談して薬の種類を調整する
- SSRI/SNRI → ドーパミン作用のある抗うつ薬(ミルタザピンなど)に変更可能か相談。
- β遮断薬 → 影響の少ないカルシウム拮抗薬(アムロジピンなど)に変更可能か検討。
② ED治療薬(PDE5阻害薬)を併用する
- バイアグラ(シルデナフィル)やシアリス(タダラフィル)を使用。
- ただし、硝酸薬(ニトログリセリン)との併用は厳禁。
③ 生活習慣の改善
- 適度な運動(有酸素運動、筋トレ)で血流を改善。
- ストレス管理を行い、神経伝達を安定させる。
④ ホルモン補充療法を検討する(低テストステロンの場合)
- テストステロン補充療法(TRT)を医師と相談する。
4. まとめ
抗うつ薬、降圧薬、抗精神病薬、5α還元酵素阻害薬(フィナステリド)などがEDの原因になることがある。
薬の種類や作用を理解し、影響が少ない薬に変更できるか医師と相談することが重要。
PDE5阻害薬の併用や、生活習慣の改善が有効な場合もある。
薬の副作用によるEDに悩んでいる場合は、医師と相談しながら適切な対策を講じることが大切です。

